アトピー性皮膚炎で陰部がかゆいと外では必死にこらえますが、家ではその分掻きむしってしまうこともありますよね。
痒い場所を掻くのは気持ちがいいので癖になりがちですが、症状が悪化する大変危険な行為です。
また、清潔にすればいいんでしょ!と洗いすぎてしまうことも実はとても危険です。
さらに、ステロイドを陰部に塗る行為も要注意です。
適切な対処をしないことが原因となり、女性は「カンジダ症」、男性は「いんきんたむし」の症状に悩まされてしまいます。
そのような症状に悩まされないよう、予防対策と改善法をご紹介しています。
アトピーは陰部にもできる?その原因と対処法とは
決して陰部を不潔にしているわけではないのに、Vゾーンがかゆくなったり下腹部に湿疹やかゆみなどの皮膚炎が起こることは意外とよくあります。
しかし陰部は恥ずかしい部位にできているためなかなかすぐに病院にかかることもできず困っているという人も少なくないはずです。
こうした陰部の皮膚炎はアトピー性皮膚炎によっても起こることがあります。
アトピーと言えば顔や手足など人目に触れる部分に湿疹ができたり肌が赤くなる状態を思い浮かべることが多いと思います。
しかしアトピー性皮膚炎というのは通常の健康な肌の状態に比べると皮膚のバリア機能が衰えているため、細菌の感染を起こしやすい状態になっています。
陰部の肌も例外ではなく、カンジダ症などの感染症にかかって皮膚炎を起こすことはあるのです。
陰部のアトピー悪化で起こるカンジダ症
カンジダ症はカビの一種であるカンジダ菌が増殖することでおこる病気であり、陰部が真っ赤に炎症を起こし激しいかゆみが起こります。
その他にも白く粘性があり、酒かすやカッテージチーズのようなぽろぽろとしたおりものが出ることも特徴として挙げられます。
カンジダ菌自体は通常体の中に常在している細菌であり、特別悪質なものではありません。
しかし、アトピーの免疫低下の加え、疲れやストレスなどから体の抵抗力が落ちていたりすると、膣内で増殖してカンジダ症を発症します。
あまりの痒みからつい下着の上からでも陰部を掻いてしまうことが多いのですが、掻いてしまうとさらに症状が悪化し、時には症状が陰部全体に広がることもありますので早めに病院を受診し治療を受けたほうがよいでしょう。
また、カンジダ症は清潔にし過ぎることでも発症しやすくなると言われています。
「清潔にしているのにどうして?」と不思議に思う人もいるでしょうが、カンジダ菌は私たちの体に常在している菌であるため清潔にし過ぎて必要な菌まで洗い流してしまうと、今度はカンジダ菌が異常に繁殖してしまうのです。
綺麗にしなければと、一日に何回も洗ったり、ゴシゴシと強くこすって洗ったりしないようにしましょう。症状がひどい場合は、石鹸・ボディソープを使って洗うのを2~3日に1回に減らしてみることも効果的です。
また、乾燥によって痒みを引き起こしている場合もあります。合成界面活性剤が含まれているボディソープは肌を乾燥させてしまいます。自然派の石鹸や保湿効果の高いボディソープを使用するといいでしょう。
しみずの無添加ボディソープのように、もともとアトピー肌用に作られているものが特におすすめです。
しみずのボディーソープは、無添加にこだわった液体石鹸です。国内生産という点も安心ですね。低刺激配合でしみにくいボディソープがお肌に潤いと美容成分を与えてくれます。
また、アトピーなどの皮膚炎に対して効能が期待されているビオチンや、保湿効果が高い天然セラミドが配合されています。
低刺激で、洗い上がりも乾燥することなく、お肌をしっとりさせてくれます。
アトピー向けの石鹸について、もっと詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。
参考記事:赤ちゃんも使用OKのアトピー石鹸・ボディソープ紹介
もともとアトピー性皮膚炎を患っている人であれば手元にアトピー用のステロイド軟こうがあるかもしれませんが、ステロイドをカンジダ症の粘膜に塗布するのは控えましょう。
ステロイドを陰部に塗ればもちろん即効性はあるでしょう。
しかし、粘膜に直接ステロイドの薬を塗りこむと薬の成分が体内に吸収されやすく、それによってアレルギーやアトピー体質の人は症状がさらに悪化してしまったり収まっていたアトピーが再び出てくることもあります。
また、適度に温かく肌着や衣類を身につけていて通気性の悪い陰部というのは蒸れやすく、非常に雑菌が繁殖しやすい環境です。
デザイン性を重視した通気性の悪い下着をつけていると尚更です。
アトピーだと掻くのが癖になっている人もおり、こうした人は肌が硬くなってしまっていることも少なくありません。
湿疹がかゆいからといって掻いてしまうと、陰部は肌荒れをおこし下着を身につけている部分が逆三角形の形に黒ずんでくることもあります。
早く病院を受診したほうが良いとはわかっていても、場所が場所だけになかなか病院に足を向けることができない気持ちも分かりますが、早く陰部の治療をしないと悪化して長引いてしまうことも多くなります。
皮膚科を受診すればもちろん診察してもらうことはできますが、皮膚科に行くのに抵抗があるという人は婦人科や泌尿器科を受診してもよいでしょう。
特に婦人科なら、女性であれば受診する機会も多いためあまり抵抗なく受診できるのではないでしょうか。
カンジダ症の治療は主に薬物治療が中心となります。抗真菌薬の塗り薬のほか、場合によっては内服薬を処方されることもあります。
パートナーがいる場合には、パートナーにも感染している可能性が考えられます。
パートナーも感染していた場合には、必ず2人で一緒に治療を受けることが大切です。
アトピー性皮膚炎は膣液や精液が刺激剤となって、男性女性を問わず陰部の湿疹が重症化することもよくあります。
そのため診察の際にはアトピー性皮膚炎の経緯もきちんと医師に伝えておくことが大切です。
トラブルの起きやすい外陰部
特に女性の外陰部というのは、生理の時の出血やおりものなど子宮や膣からの分泌物の影響から常に湿度が高く蒸れた状態になっています。
また外陰部には皮脂腺や汗腺が多いことも蒸れた状態になる原因となっています。
そのため外陰部はちょっとした刺激でもトラブルがおこりやすい部分だと言えます。
成人の女性であれば生理の時の血液やおりもののほか、ナプキンやおりものシート、タンポンといった生理用品によって外陰部が刺激を受けたり雑菌が繁殖することでキズやかぶれにつながります。
その他にもガードルやストッキング、ジーンズなどによって締め付けることも陰部にムレや雑菌を繁殖させる原因の一つになっています。
閉経後におりものの分泌が減ることで下着が擦れ、トラブルが起こることも珍しくないようです。
また外陰部のトラブルは大人にだけ起こるものではありません。
赤ちゃんでもオムツによるかぶれやムレから雑菌が繁殖し、かゆみなどの皮膚トラブルになることは良くあります。
雑菌が繁殖してしまうと、症状が悪化して治りも悪くなってしまうことがあるため注意が必要です。
男性の陰部のかゆみとその原因
脇や首などは性別を問わずデリケートな部分であり、わずかな刺激でも敏感に反応してトラブルを引き起こすことも少なくありません。
陰部もデリケートな部分の一つですが、男性の場合は特に陰のう周辺部分の皮膚というのは敏感になっています。
また皮膚自体が薄く敏感であることに加え、汗によるムレや下着による擦れが起こりやすい場所であり、アトピー性皮膚炎の人は雑菌が繁殖しやすくかゆみを引き起こしがちです。
男性の陰部のかゆみは「陰部掻痒症」と呼ばれており、陰のうだけでなく肛門周辺部分のかゆみも含まれます。
同じように陰部にかゆみをもたらす病気に「いんきんたむし」というものがあり、陰部掻痒症と混同している人もいるようですが、この二つは同じではありません。
いんきんたむしとは、白癬菌という菌が原因で起こる病気であり、陰のうで発生することはほとんどありません。
主に下腹部や内股部分に発生し、丸く広がっていくのが特徴です。
これに対し陰部掻痒症は陰のうや肛門周辺に発生する痒みのことであり、汗によるムレや下着による擦れや乾燥が原因となって起こります。
しかしどちらにしろ掻くと症状が悪化してしまうため、早めに病院を受診し陰部の治療を受けて掻かないようにすることが大切です。
アトピー陰部のかゆみ対処法まとめ
陰部はとてもデリケートな場所ですので、間違った対処をしてしまうと痒みがさらに悪化してしまったり、肌がかぶれてしまう可能性があります。
あまりに症状がひどかったり、なかなか治らない場合は、自己判断で市販の塗り薬を使用したりせず、早めに病院へ行って薬を処方してもらいましょう。また、日常的に気をつける点や、注意点を改めてよく確認し、正しく対処するよう心がけてください。
かゆみ対策のポイント
・清潔にしようと肌を洗いすぎない
・肌にやさしく、保湿力の高いの石鹸・ボディソープを使う ・締め付けがなく、通気性の良い下着・衣類を着る ・ステロイドは使わない |
肌を清潔にしようと、必要以上に洗いすぎてしまったり、ゴシゴシと強くこすって刺激を与えてしまうと、必要な菌まで洗い流されてしまいます。保湿力が高く、肌にやさしい自然派の石鹸を使うようにしましょう。
陰部は蒸れやすい場所でもありますので、締め付けのない下着や通気性の良い洋服を着ることも大切です。また、陰部はデリケートで、薬の成分が吸収されやすいため、ステロイドの使用は控えましょう。
また、日常的に意識することとして、ストレスをつくらないようにしたり、食事に気をつけて体内環境から改善していくこともとても大切ですので、是非実践してみてください。