はっきりとした原因が解明されていないと言われているアトピー性皮膚炎。これまで、さまざまな治療法を試してみたけど、なかなか症状が改善されないという方も多いはずです。
そんな数ある治療法の中から、ひとつの可能性としてアロマオイルの存在を知ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一般的に、癒し目的で使われることの多いアロマは、アトピー性皮膚炎の治療に役立つのでしょうか?
正直なところ、アロマの使用だけでは、アトピーの完治は難しいです。しかし、アロマを上手く利用し、症状が緩和されたという方も中にはいます。
そこで、アトピーに効果的と言われている精油の種類や使い方をご紹介していきたいと思います。
ただし、アトピーでアレルギーを持っている場合は、使う成分によって肌荒れを起こしたり、炎症が悪化してしまう可能性がありますので、注意が必要です。
アロマを肌に塗布して使用する場合は、必ずパッチテストを行って、慎重に使用するようにしましょう。
目次
アトピーにアロマは効果があるの?
アトピー性皮膚炎の治療にアロマは効果的でしょうか?
正直なところ、アロマの使用だけで、アトピー完治を目指すのは難しいです。アトピーの完治には、適正な食生活、腸内環境の改善、適正な運動など、日常生活におけるさまざまな体質改善が不可欠になるためです。
参考記事:現時点で最短で最善のアトピー完治の具体的なステップ
しかし、アロマを利用することで症状が緩和されたという方がいるのは確かです。
「メディカルアロマテラピー」に代表されるように、医療現場でもアロマテラピーが使われることがあります。
日本ではリラクゼーション目的で利用されることの多いアロマですが、医療においては、薬などで症状を抑えるのではなく、人間本来が持つ治癒力を引き出す目的でアロマが用いられるのです。
アトピーの原因のひとつとしてストレスがあげられますが、アロマにはリラックス効果もありますので、日常生活でアロマを上手く取り入れていくと相乗効果は望めるかと思います。
アロマは鼻から香りを嗅ぐことで、電気信号として大脳に伝達されます。このように大脳に刺激を受けることで、生理活性物質(ホルモンなど)が分泌され、心と身体に効果・効能をもたらします。
アトピーの治療と言うと、ステロイドが一般的ですが、ステロイドには副作用があり、また長期的に利用していくと効果が薄れていくという特徴があります。
食事による腸内環境の改善や、運動、肌の保湿などと合わせて、アロマも治療法の一つとして取り入れてみるのはいいかと思います。
それでは、具体的にどのようにアロマを使用していくかを見ていきましょう。
アロマオイルを使ったアトピー治療
アロマには使用方法がいくつかあります。「エッセンシャルオイル」と呼ばれる精油を使用しますが、この精油はアロマの成分を凝縮したもので、100%植物由来の成分となっています。
エッセンシャルオイルをディフューザーに入れたり、ハンカチ・ティッシュに2〜3滴入れて、香りを楽しむ方法があります。
このように香りを鼻からかぐことで楽しむという使い方が一般的なイメージかと思いますが、実はその他にもさまざまな使用方法があります。
一番のおすすめは、ホホバオイルなどのキャリアオイル、ワセリンなどに、エッセンシャルオイルを混ぜて希釈して使う方法です。
アトピーの場合、乾燥している箇所や肌が荒れている場所に塗るといいでしょう。オイルを使うことで保湿をしながら、アトピーに効果的なエッセンシャルオイルの成分を肌に浸透させることができます。
また、濡らして冷やしたタオルに2〜3滴エッセンシャルオイルを垂らして、患部にあてる冷湿布法と呼ばれるものもあります。こちらの方法も手軽にできるため、おすすめです。
ただし、肌に直接塗って使用する場合は、薄めていてもアレルギーを持っている方は肌が余計にかぶれてしまったり、荒れてしまう可能性があります。
いきなり肌にたっぷり塗るのではなく、二の腕の内側などに少量塗って試すなどして、まずは必ずパッチテストを行うようにしてください。
また、お風呂に垂らして使うことなどもおすすめです。
アトピーにとって、入浴はとても大切です。湯船に2〜3滴垂らして使うことで、香りが鼻から入り、リラックス効果があります。
シャワーを浴びる際に、床に垂らして使うのもいいでしょう。
アロマオイルをハーブティーなどに入れて飲む方法もありますが、日本においては、アロマを飲んで使用することは推奨されていません。
また、植物の成分が凝縮されているので、アロマオイルをそのまま肌に塗ることも肌への刺激となる可能性があるため、おすすめしません。
肌に塗って使用する場合は、必ずキャリアオイルやワセリンで希釈して塗るようにしましょう。
また、品質がいいものを選ぶことも重要です。
中にはあまり品質がよくないものもあります。肌に合わないものを使うことでかえって肌荒れが悪化してしまうことがありますので、できれば、「オーガニック認定」されている高品質な精油を使用することをおすすめします。
アトピーに効果があるアロマの成分
アトピーに効果があると言われている成分をまとめてみました。
カモミール・ローマン
カモミール・ローマンは、抗アレルギー作用・抗炎症作用・鎮静作用があります。
アレルギーの原因と言われている「ヒスタミン」の放出を防ぐ役割があると言われているので、アトピーにもおすすめです。
カモミール・ジャーマン
カモミール・ジャーマンには、抗アレルギー作用・抗炎症作用・鎮静作用があると言われています。
アレルゲンである「ヒスタミン」を抑える効果があり、カモミール・ローマンよりアレルギーを抑える効果は高いと考えられています。
また、「α-ビサボロール」という成分が含まれており、この成分が肌を保護する性質があります。
肌に炎症を起こしやすいアトピー肌の方にはおすすめの成分です。
ローズウッド
ローズウッドには、抗菌・抗ウイルス作用があります。
主成分である「リナロール」にそのような働きがあり、免疫力を高めてくれると言われています。
また、心のバランスを整えてくれる働きもあるので、アトピーでストレスを抱えている方の心を落ち着かせてくれます。
ティートゥリー
ティートゥリーには、強力な殺菌・抗菌作用があります。
アトピーの場合、肌に菌が繁殖し、さらに症状を悪化させていることがよく起こります。
また、菌が繁殖している状態にステロイドを塗ると、それらが菌のエサとなり、症状が悪化してしまいます。
そのようなときに、ティートゥリーを塗ると菌の繁殖を防いでくれる働きがあります。
ラベンダー
ラベンダーには抗炎症作用、リラックス効果があります。
アトピーの原因のひとつには、ストレスが関係していると言われています。
また、アトピーのかゆみがさらなるストレスを引き起こすという悪循環にもなりますので、リラックス効果のあるラベンダーはおすすめです。
アトピーにアロマを使う場合の注意点
アロマテラピーを行う上での注意点がいくつかあります。
エッセンシャルオイルは濃度が高いため、必ず原液のままではなく、ホホバオイルやワセリンなどに希釈して使うようにしましょう。
アトピー肌の方は肌が乾燥しやすいため、乾燥を防ぐためにもオイルやワセリンと合わせて使うことをおすすめしています。
また、アレルギーを持っている場合は、炎症がさらに悪化したり、肌がかぶれてしまうこともあります。
肌に直接塗って使用する場合は、必ず腕の内側など、皮膚が薄いところで事前にパッチテストをしましょう。
アロマをハーブティーに入れて飲む方法などもありますが、日本ではエッセンシャルオイルを希釈して飲んだり、原液で飲むことはおすすめしていません。また、妊娠中の方の使用もおすすめしません。
使い方に注意して、日々の生活にアロマを取り入れてみるといいかと思います。
アロマテラピーについてまとめ
アロマの使い方や、アトピーにいいと言われている精油についてご紹介してきました。
アロマは使い始めてすぐに効果が出るものではありませんが、日々を快適に過ごすために、取り入れてみるといいでしょう。
治療目的で患部に使うだけではなく、香りを楽しむことでリラックスできるところがいいですね。
アトピー症状緩和のためのひとつの可能性として、アロマテラピーも試してみてはいかがでしょうか。