私は長いこと亜鉛について注目をしてきませんでした。
数ある栄養素のうちの一つといった認識でしかなかったのです。
しかし、私の亜鉛に対するその認識は間違っていました!
亜鉛は酵素の働きを助ける補酵素として、脂質・糖質・タンパク質といった100以上の代謝に関与していたのです。
つまり、アトピー性皮膚炎によって起こる肌の症状を緩和し改善してくれるということです。
あなたのアトピーが悪化する原因は、ひょっとするとこの亜鉛不足にあるかもしれません。
そこで、ここでは亜鉛とアトピーの関係と効果的なサプリメント情報をお届けします。
目次
皮膚疾患における亜鉛の重要性
昔の人も知っていた亜鉛の効果
現在は、亜鉛は生物の成長や発達に欠くことのできない必須ミネラルだということで、成人の一日の所要量は12mgとされています。
しかし、亜鉛が必須の物だと分かるずっと以前から、皮膚の傷を治したり皮膚を正常に保つ働きがあることが経験によって知られており、湿疹や火傷の塗り薬として使われてきました。
日本人は潜在的亜鉛欠乏症
日本の土壌にはミネラルが少なので、欧米人に比べると血清中の亜鉛量は少なめです。
そして、平均的な日本食では一日に9mg程度しか取れないといわれています。
日本人の多くは潜在的亜鉛欠乏症(marginal zinc deficiency)の状態にあるということです。
亜鉛は皮膚の強い味方
亜鉛は、300種類の酵素を体の中で作り出すために必要なミネラルで、他のミネラルとは比較にならないほど多くの働きをします。
皮膚においては、細胞分裂の酵素は亜鉛関連の酵素なので新陳代謝を活発にします。
また、皮膚にある活性酸素を除去する酵素で、炎症を抑えたり、老化を防いだりするSODも亜鉛で働きます。
皮膚のコラーゲン生成にも重要な役割を果たすので、アトピーで痛んだ皮膚を新しい皮膚に修復するのに役立ちます。
さらに、性ホルモンも活性化させるので、皮膚に艶がでます。
また、アトピーの人は、ヘルペスや水イボなどのウイルス性の皮膚病にかかりやすのですが、 亜鉛はこのようなウイルスに対する免疫力を強化してくれます。
亜鉛をとるだけで、幾種類もの健康食品をとるのと同じ効果があるということになります。
亜鉛が足りないとどうなるの?
亜鉛不足と皮膚疾患
亜鉛が不足すると、皮膚の表皮が厚く、かさかさになり、肌の色はくすんできます。
以前から、ニキビや乾癬、難治性潰瘍などへの亜鉛による治療は効果があると報告されてきましたが、アトピー性皮膚炎に対しては有効であったという報告と有効ではなかったという報告とがあります。
アトピー性皮膚炎の原因は、アレルギー性のものであり、亜鉛不足が原因ではありませんから、亜鉛だけでアトピー性皮膚炎が治ってしまうわけではありません。
亜鉛が足りている人
亜鉛が十分に足りている人の肌は、まるで汗と脂質が程よく混じった自家製のクリームが、皮膚のいちばん外側にある角質を潤しているような状態になります。
薄くしなやかな膜が肌の表面を覆い、外界からのダニやほこりを寄せ付けず、皮膚の内部の水分を逃しません。
亜鉛とアトピー性皮膚炎
日本は、他の国と違い、もともと亜鉛が不足気味なことから、アトピー性皮膚炎の重症患者が他の国に比べて圧倒的に多いことが社会問題となっています。
ステロイド剤と抗アレルギー剤だけでは治らない患者が増えており、また、アトピー性皮膚炎の炎症は広範囲に発症することもあり、炎症を抑える効果のある亜鉛の消費量も増加しています。
日本人にはもともと亜鉛が不足しているので、特にアトピー性皮膚炎の患者に対しては酵素やホルモンを十分に活性化させるために、亜鉛を補充して自然治癒力を高めることが必要です。
実際に、アトピー性皮膚炎の治療において亜鉛を使用した結果、三ヶ月ほどで劇的に良くなる方もあれば、徐々に効果が出る方もありますが、7,8割の患者さんに何らかの効果が現れています。
その際、全体の栄養バランスが整った方が治りやすいようです。
玄米と野菜のように繊維が多く、炭水化物に偏った食事をしている方は、特に治りが悪くなります。
細胞や血液はたんぱく質や脂質からできているので、それらが十分にないと、亜鉛も働かないということです。
人体を建物に置き換えると、蛋白や脂肪は木材や壁で、亜鉛は釘、大工さんが炭水化物、ということになります。
それぞれのバランスがとれている状態であることが必要です。
亜鉛不足とアレルギー
タンパク質の消化能力の低下
亜鉛は、胃酸やプロテアーゼ(タンパク質の分解酵素)を作るために不可欠な物質ですから、亜鉛が不足するとタンパク質を分解することが困難になり、消化力が落ちるため、アミノ酸にまで十分に分解されないまま腸から吸収され、それが血液中に入り込みます。
そして、免疫細胞がこの未分解のタンパク質を異物の侵入とみなすため、抗原抗体反応が起ります。
これが食物アレルギーの原因となり、アトピーや喘息になるのです。
活性酸素除去力の低下
体内で抗原抗体反応が起こると、活性酸素が大量に発生し、炎症を起こします。
活性酸素除去酵素(SOD)は、亜鉛がなくては作れないので、亜鉛が不足すると、活性酸素除去酵素(SOD)が不十分となり、炎症を抑えることができなくなります。
細胞再生力の低下
亜鉛は、細胞の再生や新陳代謝に欠かせないミネラルなので、不足すると皮膚や粘膜細胞の再生力が落ちてしまい、起こった炎症を鎮めることができなくなります。
アトピーの体質化
亜鉛は酵素の働きを助ける補酵素として、脂質・糖質・タンパク質といった100以上の代謝に関与しています。
特に、脂質代謝において亜鉛が不足すると、アトピーや喘息などを抑制するプロスタグランジン(局所ホルモン)が生成できなくなります。
亜鉛の不足要因
亜鉛は、牡蠣(かき)、アーモンド、ごま、煮干しなど、穀類・魚貝類・肉類に含まれていて、普通の食事で不足することは少ないとされており、亜鉛不足の原因には、以下のようなことが考えられます。
アルコールの大量消費 無理なダイエット タンパク質や脂質の取りすぎ インスタント食品や加工食品の品質改良剤 鉛、水銀、カドミウム、ヒ素などの有害物質 ストレス 薬物の常用 |
このようなことが原因で亜鉛不足が起こりますので、注意してください。
亜鉛不足でアレルギーを悪化させないようにするために
以前、ダイエットをしている若い女性の味覚障害が問題になりましたが、その原因は亜鉛不足でした。
無理な食事制限をしたり、加工食品ばかりを食べていると亜鉛が不足し、成長障害や性ホルモンバランスの乱れをひき起こすので、バランスのとれた食事はとても大切です。
また、授乳中や妊娠中にも亜鉛が不足しがちになります。
小さな子供が亜鉛不足になると、正常な成長ができなくなりますので気をつけてください。
アトピーや喘息を改善させるためにも、亜鉛をはじめ、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルはきちんと取るように気をつけましょう。
亜鉛の取り方
日本人はもともと亜鉛が潜在的に不足気味ですから、亜鉛を多く含む、牡蠣、肉、魚等を取ることが必要です。
玄米はミネラルが豊富ですが、食物繊維が多いことや、アトピー性皮膚炎の方に米アレルギーの方が多いことなどから、かえって亜鉛不足になったり、皮膚炎が悪化することがありますので注意が必要です。
また、銅と亜鉛は構造がよく似ているため、亜鉛をたくさん摂ると、銅の相対的不足が起こることがあるので、亜鉛のサプリを服用する際は同時に銅を摂るようにしてください。
亜鉛と銅の摂取比率は、亜鉛15に対し、銅1の割合が理想です。
亜鉛の摂取量は、三ヶ月程度であれば、一日あたり50mgまで、数年以上の長期間続ける場合は、一日45mgを越さないようにして下さい。
亜鉛は取るべきだけど、亜鉛が入っている食物のアレルギーがある場合、摂れない。
そういう場合はサプリメントで亜鉛を摂取するのが一番いいです。
亜鉛のサプリメントですと、圧倒的にこのサプリです。
亜鉛のサプリでこれ以外にはいいものがほとんどありません。
亜鉛を摂るならこのサプリと言っていいほどです。
アトピー性皮膚炎の原因と対策
アトピー性皮膚炎は、もともとの体質だけではなく、ストレスから発症することもあります。
ストレスが肌のバリア機能を低下させ、アトピーの主な原因であるアレルゲンを侵入させてしまうからです。
つまり、今までアトピーとは無縁だと思っていた人でも、突然発症するという可能性があるのです。
また、男性の場合は、肌を守るための保湿ケアを行なっていないことが多いので、アレルゲンの影響を受けやすいと言われています。
対策としては、保湿ケアをすることが一番良いのですが、毎日ケアするのは大変ですので、アトピー緩和に繋がるといわれている亜鉛を摂取することをおすすめします。
亜鉛とアトピーの関係
アトピーによる炎症を抑制
体内でアトピーの原因となる抗原抗体反応が起きると、アトピーによる炎症を招く活性酸素が過剰に発生してしまいます。
亜鉛は活性酸素を除去してくれるので、炎症を抑制させる効果が得られます。
アトピー性皮膚炎による痒みの原因を抑制
アトピー性皮膚炎は患部に痒みを伴うので、その患部を掻くことにより症状が悪化してしまうことが多いといわれています。
また、掻くことで肌の内部のメラノサイトが刺激されてメラニンが生成され、それにより色素沈着の痕が残ってしまうこともあります。
亜鉛は痒みを引き起こすヒスタミンを抑制する効果があり、痒みが起きにくくなるので、アトピー性皮膚炎の悪化や、色素沈着の痕ができるという事もなくなります。
アトピーの症状を抑えるホルモンの生成をサポート
アトピー性皮膚炎の方は、アトピーの症状を抑える上で欠かせない物質であるプロスタグランジンというホルモンの量が、アトピー性皮膚炎ではない方に比べて少ないといわれています。
亜鉛はプロスタグランジンの生成には不可欠な物質であり、また、アトピー性皮膚炎の悪化を防止するということもわかっています。
アトピーを発症させない肌
肌の角質層が防御機能を発揮するのは、ケラチンの力が大きく関係しています。
ケラチンは、分子同士がお互いに強く結びつき、全体的に隙間の少ない、緻密で固い構造になっています。
そして、この隙間の少ない構造により、アトピーの原因となるアレルゲンなどをシャットアウトします。
亜鉛は、このケラチンを合成する働きがあるのです。
つまり、亜鉛によって肌の機能が向上し、アトピーが発症しにくくなるということです。
アトピー性皮膚炎の方は、亜鉛などの栄養を吸収しにくい
アトピー性皮膚炎の方は、特に体内の亜鉛が減少傾向にあるといわれているので、積極的な摂取を心がけることが大事です。
亜鉛は、食べ物では、牡蠣(かき)、肉類(特に牛肉)に多く含まれます。
しかし、アトピー性皮膚炎の方の腸は、弾力性が低下しており、腸からの成分の吸収率が劣るという共通の特徴があるので、必要な量の亜鉛を食べ物から摂取するのは難しい可能性があります。
そのような場合は、食べ物よりもサプリメントといった吸収率の高いものから亜鉛を補給すると良いでしょう。
亜鉛とアトピー・喘息・花粉症
アトピーなどのアレルギー性疾患の人には、亜鉛の要改善値(不足値)が出る場合が多く、はっきりした因果関係があります。
参考リンク
この記事の編集チーム→詳しくはこちら
公益社団法人日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会
日本形成外科学会
日本レーザー医学会
日本レーザー治療学会
日本抗加齢医学会
日本臨床皮膚科医会
日本東洋医学会
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